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□ PSU小説 『交わる2つの運命』(未) □

ミリア編

<人物設定>

ミリア_s2 ミリア
  透き通るような長い金髪に青い瞳、切れ長の目をした女性ヒューマン。
  一見クールで冷徹な印象に見られがちだが、常に仲間を思いやる優しさも併せ
  持つ。
  細身の体形からは想像出来ないほどの高い身体能力を持ち、身の軽さを生か
            した高速戦闘を得意とする。

----------------------------------------------------------------------------------
 
 
 グラール太陽系、第3惑星モトゥブ。
そこに広がる広大な砂漠の一郭を1台のフローダーが颯爽と走っていた。
2本に束ねた長い金髪をなびかせながら、砂煙を上げ時折現れる岩や枯れ木の合間を縫うように軽やかにかわしながら疾走して行く。
やがて周囲に無数の巨大な岩が点在する場所へと差し掛かると、速度を落としゆっくりと停止した。
「この辺りかしらね」
端末に表示された周辺地図を確認しながら、彼女はゴーグルへ備え付けられた通信機へと手を伸ばした。
「こちらミリア。予定のポイントへ到着」
「……確認しました。周囲の様子はどうですか? ミリアさん」
一拍置き返って来た声の主へと、ミリアは辺りを見渡しながら答える。
「人の気配はおろか、原生生物の姿1つすら見当たらないわね」
「諜報部から報告のあった場所はその付近で間違いないようです。ここからは慎重に行動して下さい」
「了解」
相変わらず抑揚の無い至って事務的な口調なのは、相手がキャストのせいなのか、それともその中でも彼女が特別なのだろうか。
そんな事を考えつつフローダーを降りると、適当に辺りの岩陰などを調べて回る。
モトゥブにおけるガーディアンズの拠点の1つ、ダグオラ支部にてミリアのゴーグルを通じ送られてくる映像を逐次解析していたキャストの少女が、ある一点を指しミリアに声を掛けた。
「巧妙に偽装してありますが、そこの3つ並んだ岩の内、中央の物だけ周囲とは性質が異なるようです」
機能を切り替え、指定された箇所をサーチしてみると確かに1つだけ異質な物で出来ているらしい事が見て取れた。
「これね」
ミリアはその岩へと近付くと、感触を確かめた後力いっぱい岩を奥へと押し込んだ。
すると、それは思いの他簡単にズルズルと動き、やがてその下から金属製のドアらしき物が姿を表したのだった。
「今時、こんな張りぼてなんて時代錯誤な方法を使う連中がいるなんてね……」
半ば呆れた風に呟きながら、ミリアはドアの脇に備え付けられた電子ロックへと携帯した小型端末を接続する。
数秒の後、短い電子音と共にライトが赤から緑に変わりロックが解除された事を示す。
センサーがその場にいたミリアを感知し、静かに開いた扉の先には地下へと続く階段が伸びていた。
入り口付近は外の日が差し込んでいるものの、それ以上先は暗く奥まで見通す事は出来無かった。
「さて、ここからが本番という訳かしら」
辺りを警戒しつつ、ミリアは慎重に階段を下って行く。
しばらくして目が暗闇にも慣れ始めた頃、どうやら最下部へと到着したらしく突き当たりに再び電子ロックのかかったドアが現れた。
扉越しに中の物音や様子を窺おうとゴーグルを駆使しながら、ミリアは呟く。
「どう、何か反応はある? ルウ」
しばらくコンソールを忙しなく操作していたかと思うと、ルウはディスプレイに表示されたデータの1つに目をやる。
「生体反応らしき熱源を複数感知、恐らく室内には数名の人間がいると思われます……ですが、データが不鮮明な為、正確な数までは把握出来ません」
「そう。ま、後は出たとこ勝負ってところかしら」
先程と同じように小型端末でドアのロックを解除しようとした時だった。
「ミリアさん」
「何?」
不意に呼び止められ、ミリアは手を止めた。
「今回の任務はあくまで犯人の確保です。余りやり過ぎないように注意して下さい」
「分かってるわ。でも、相手の出方によっては保証は出来無いけれどね……」
その答えに、ルウはそれ以上何も言わず最後に「十分に気を付けて下さい」とだけつけたし通信を終えた。

その頃、室内では数人の男達が薄暗い照明の中、何やらゴソゴソと様々な機器を次々に箱へと詰め込んでいた。
その作業ももうじき終わりを迎えようとしていたその時、出入り口に繋がる部屋の唯一のドアが開き中へと飛び込んで来た人影があった。
「誰だっ!」
男の1人が咄嗟に声を上げ、腰に隠し持った銃に手をかける。
「全員動かないで、ガーディアンズよ!」
手にした銃を突きつけるように構え、男に負けないほどの威勢を上げるのは、ドアのロックを解除し中へと踏み込んで来たミリアだった。
「ガーディアンズだと!?」
「違法改造マシナリーのパーツ密売の容疑で全員逮捕するわ。武器を捨てて大人しく投降しなさい」
彼女の突然の登場に始めこそ驚いた様子の男達だったが、どうやら相手が1人、ましてやそれが女だと悟ると態度を急変させていった。
「随分と威勢がいいみたいだが、もう少し相手を見てから物を言った方がいいんじゃねぇか」
見ると、男達はそれぞれ持っていたナイフや銃を手にミリアへとにじり寄って来る。
「この様子じゃ、どうやら素直に言う事を聞いてくれそうに無いわね」
フゥ、と短く溜息を吐くと同時にミリアはルウにそっと心の中で詫びた。
次の瞬間、彼女は僅かに体を屈めると全身のバネを使い目の前の比較的小柄な男へと飛び掛った。
その刹那、彼女の放った強烈な膝蹴りの直撃を顎に受け、自分の身に何が起こったのかも分からぬまま後方へと吹き飛ばされた男の体が激しく壁へと叩き付けられる。
「ぐふ……」
微かに呻き声を洩らし床へと崩れ落ちる仲間の姿に、残りの男達は一瞬目を奪われたがすぐに我を取り戻し、一斉にミリアへと襲い掛かった。
彼女の着地した隙を狙おうとナイフを突き出す細身の男の脇腹へ、体を反り返らせるようにして繰り出したミリアの鋭い蹴りが見舞われる。
「が、ぁっ」
脇腹を襲う鈍い衝撃に体勢を崩したところへ、今度は回転を加えた左回し蹴りの追い討ちを同じ脇に喰らい肋骨の数本折れる音と共に2人目の男は気を失い倒れた。
「このクソアマが!!」
今度は、少し離れた位置にいた別のがたいの良い男がミリア目掛け銃を乱射してくる。
気が動転しているせいか、然程距離が無いにもかかわらずいまいち狙いの定まらない銃弾を付近の荷物やらを利用しながらかわし、反撃の機会を窺う。
やがて弾切れを起したのか男の銃撃が止んだ瞬間を狙い、ミリアは相手の銃を弾き落とし利き腕らしい左肩を撃ち抜いた。
「ぐわ!」
悲鳴を上げ派手に倒れ込んだ男を横目に、ミリアは別の敵へと意識を向ける。
先程の銃撃の最中、物陰へと男が1人潜むのを彼女は見逃してはいなかった。
「……これで終わりかしら」
あえてこちらから攻めるのではなく、わざと隙を見せたように装ったところを背後から襲い掛かってきた髭面の男に対し、上半身の捻りを加えた肘内をみぞおちへと叩き込む。
体の芯を貫くような痛みと共に一瞬呼吸が詰まり、意識の飛び掛けた男の横っ面を続けざまに思い切り掌底で殴り付ける。
その衝撃で軽い脳震盪を起した髭面の男は口から泡を吹きながらふらふらとその場に崩れ落ちた。
「ふぅ……」
今度こそ本当に終わりかと思ったその時、ミリアは背後で何者かが動く気配を感じ振り返った。
その頬を1発の銃弾が掠め、その後に一筋の赤い線を残した。
咄嗟に身をかがめるように横へ跳び、敵の射線上から体をそらす。
「まだ動けたなんてね……」
彼女の目が捉えていたのは、先程肩を撃ち抜いたがたいの良い男の姿だった。
確かに左肩に受けた傷のせいか利き腕は封じられている様子だったが、その傷口からは一滴の血も流れておらず、代わりにチリチリと火花やスパークを散らしている。
暗がりでよく見えなかった為、他の者達同様人間だと思い込んでいたミリアだったが、どうやらその男だけはどうやらキャストの様だった。
相手が機械の体ならば、片腕を潰したところで動きを完全に止められる筈も無い。
「ちっ……」
ミリアは自分の考えの浅はかさに舌打ちをしながらも、次の出方に考えを巡らせる。
「クソッ垂れが、ぶっ殺してやる!!」
だがその間も怒りで我を忘れたキャストの男はミリアのいる周辺に容赦なく銃弾を浴びせ掛ける。
もはや隠れているのも限界と感じたのか、ミリアは物陰から別の物陰へと床を滑るように走りながら銃で応戦するもなかなか決定的なダメージは与えられない。
既に自分達の商売道具の事すらどうでもいいのか、相手の男は戦闘で辺りに散らばってしまったマシナリーのパーツすら蜂の巣にしている有様だった。
「一体どれだけ弾を持ってるのよ……」
流石のミリアも思わず愚痴が口を付いて出る。
そんな状態がどれだけ続いた頃か、
「出て来ないならこっちから行くまでだ!!」
流石に痺れを切らしたのか、男が銃を捨て目の前にある机や積荷などまるで目に入らないかという勢いでミリアへと一気に突進した。
これには意表を突かれ、僅かに行動の遅れたミリアは男の体当たりを完全にかわし切れず、部屋の隅へと弾き飛ばされてしまう。
「キャアッ」
壁に体を強かに打ち付け、痛みと衝撃で意識の朦朧とする彼女へ止めを刺さんと、キャストの男は残った右腕でミリアの首を強く締め上げた。
「ぐ、あ……」
徐々に彼女の体を片腕で持ち上げ、ミリアは完全に足が中に浮いてしまう。
勝ち誇ったように不敵な笑みを浮かべる男だったが、この行為が反って仇となった。
足が自由になった彼女は、素早く腰のナノトランサーから取り出したダガーを振るい男の右腕を肘の辺りで切断する。
と同時にその胴体を思い切り蹴り付け、男の体を後方に弾き飛ばした。
男が床へ倒れるのとミリアが体の自由を取り戻すのとはほぼ同時だった。
「ガアアアァァァッ!!」
絶叫を上げながら起き上がり、それでもなおこちらに襲い掛かって来ようとする男の胸へ、ミリアの投げ付けたダガーの刃が深々と突き刺さり一層激しいスパークを上げる。
この一撃が決定打となり、遂にキャストの男はその動きを完全に停止した。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
乱れる呼吸を何とか落ち着けながら、ミリアは改めて周囲を見渡した。
既にこの部屋の中で動いているのは自分一人。後は皆完全に意識が無いか、苦しそうにもがいているだけだった。
ミリアは今しがた自分が止めを刺したキャストの男へと歩み寄る。
見ると、胸部の装甲を切り裂いたダガーの刃が胸の中央よりやや左よりの位置に深く食い込み、傷はその奥にある心臓部まで達している様子だった。
幾らキャストと言えども、この傷ではもはや助かる見込みは無いだろう。
ミリアは刺さったままのダガーを静かに抜き取る。
一瞬スパークが強さをますものの、後は時折小さく火花を散らす程度だった。

戦闘に決着が付いたと判断したミリアは一度深呼吸し息を整えると、通信機に向かって話し掛ける。
「聞こえる? ルウ」
「はい。終わったのですか?」
ややあって応答のあったキャストの少女に、ミリアは話を続けた。
「ええ、任務完了よ。案の定、すんなりとは行かなかったけれどね」
「まずはご無事なようで何よりです。早速ですが現状報告をお願い出来ますか」
「とりあえずアジト内に居たのは全部で4人、全員男よ。それから今の状況としては、負傷者がヒューマンが1、ビーストが2の計3名……そして、死者がキャスト1名よ」
死者との報告にルウも言葉を詰まらせている様子だった。
だがそれが同種族の死を憐れんでいるのか、はたまた単に今回の任務結果に対する支障の程度を計算しているのか、もしくは別の理由からなのかまでは通信機越しに話すミリアには定かでは無かった。
やがて再び口を開いたルウの口調は相変わらず無機質なものだった。
「分かりました。現在、こちらの要請を受け地元の警察組織がそちらへ向かっています。彼等が到着するまでの間、現場を確保して置いて下さい」
「その後は?」
「犯人と現場を引き渡し次第、帰還していただいて結構です。お疲れ様でした」
「了解。じゃまた支部で会いましょう」
帰ったら何か小言でも言われるかもしれない。
そんな事を考えながら、ミリアは通信を終えると近くにあった丈夫そうなコンテナの1つへと腰掛ける。
疲れた身体を休めるように身を預けながら、彼女は戦闘で昂揚した気持ちを落ち着けるようにじっと静かにルウから連絡のあった地元警察の到着を待つのだった。
 
 
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Date:2008/04/26
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