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□ PSU小説 『噂のラッピー』 □

  『噂のラッピー』 前編

  
 その日、パルムのホルテス・シティ西地区の一部では、普段の街の様子とは異なる盛り上がりを見せていた。
それもそのはず、月に1度あちこちから人々が集まりそれぞれ持ち寄った品を自由に売り買いするフリーマーケットが開かれているのだ。
すっかり恒例行事となりつつあるそのイベントも、回数を重ねる毎に次第に人が集まり、今ではさながらお祭り騒ぎにも似た様相を見せている。
そんな賑やかな場にやって来た私は、早速お目当ての品はないかと通り沿いに並んでいる露店の方へと歩いて行く。
「特に目ぼしい物は無さそうねぇ」
幾つか見て周ってはみたものの、これと言った掘り出し物には巡り合えずまた次の露店へと向おうとしていた時だった。
「お~い、カスミーン」
何処からとも無く聞こえて来た声に思わず顔を上げ辺りを見回す私の目に、明らかにこちらへ向かって手を振っている1人の人物の姿が映る。
「あっ」
褐色の肌と、口元に生やした髭。そして何より見覚えのある頭の髷に、それが誰なのか気付いた私は人波の合間を縫うようにゆっくりと彼の元へ向った。
「おひさ~」
「シェフじゃない、どうしたのこんな所で」
他に大勢人がいる中で大声で名を呼ばれた事に気恥ずかしさを感じている私を他所に、シェフは相変わらずの明るい調子で話しかける。
「どうしたもこうしたも、俺もフリマに参加しに来てるんだがな」
よく見ると、確かに彼の前には小さなテーブルが置かれ、その上に何やらラッピングされた小箱が幾つも並んでいる。
「一体、何を売ってるの?」
思わずそう訪ねた私に、シェフは何やら自慢げに取り出した小箱の中身を差し出して見せる。
「ラッピーをモチーフにしたオリジナルのお菓子を作ってみたんだ。趣味と実益を兼ねてな」
シェフが言うには、それは大小2つのシュク・リームを繋ぎ合わせたような胴体に、キャンディ等で作った目や触覚、口ばしといったパーツをくっ付けた物らしい。
よく見ると、パイ生地で出来た両の翼にはラッピー特有の模様まで真似たものがショコラで描かれている。
ラッピーの可愛さが程よくデフォルメされた良く出来たお菓子だった。
封の開いた小箱から香る甘い匂いが、それをより美味しそうに見せている。
こと料理に関する事となると手を抜かない辺りは、何ともシェフらしい。
「まったく。しばらく見かけないと思ったらこんな副業に専念してたなんて」
「まぁまぁ、硬い事言いっこ無し。値段は手頃だし結構美味いんだぜ、これ」
そんな事を話しながら会話が弾む中、不意に思い出したようにシェフが訪ねてくる。
「ところで、カスミン今暇かい?」
「え? まぁこれと言って予定は無いけど」
「これは丁度いい所に。ものは相談なんだが、1つ頼まれてくれないかい?」
何でも、彼の話では今日予定していた一緒に手伝ってくれる筈の相方が急病とやらで来れず、人手が足りないのだと言う。
そんな折、偶然見かけた私を呼び止め、都合が良ければ助っ人を頼みたかったのだそうだ。
「なるほど、そういう事」
ブラブラと他の露店を見て周るのも悪くは無かったが、どうやら困っているらしい友人をこのまま放っておくのも気が引ける。
結果、承諾の返事をする私にシェフは喜んだ様子で言う。
「助かるよ、流石カスミン」
一体、何が流石なのやら。
「それで、私は何をすればいいの?」
「とりあえずコイツを着て来てくれるかい」
何時の間に取り出したのか、どこからとも無く現れた大き目の包みを持ったシェフが隣に立つ私へと振り返る。
「大丈夫、別に怪しいものじゃないから」と念押しするように手渡されたそれを受け取り、私はとりあえず人目に付きにくそうな近くの物陰で渡されたものを言われるがままに身に着けてみる、が……
「ねぇシェフ。コレってラッピーの着ぐるみ、よね」
「おぉ、うん。似合ってる似合ってる」
戻って来た私を見るなりそう口では褒めてはいるシェフだが、その顔はどこかにやけている。
察するに要はマスコット役とでもいう所なのだろうが、一体何を頼まれるのか先に確認しておくべきだったと後悔する一方、コレを素直に着てしまった自分がまた悔しい。
「別にシェフが着たって良いんじゃない?」
「いやぁ、それだと手の自由が利き辛くてさ。商品の受け渡しやらがやり難いのよ」
何ともそれらしい理由に半ば無理やり自分を納得させると、私は渋々彼の隣に立ち行き交う人々に向かいお客の呼び込みを手伝い始めるのだった。
 
 
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Date:2009/02/04
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