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□ PSU小説 『黒と白』 □

 黒と白 1

 
 部屋の明かりを落とし、唯一灯されているベッド脇に置かれた間接照明だけが仄かに辺りを照らす薄暗い部屋の中で、彼女、琴魅は窓の外に見える無数の星々をぼんやりとを眺めていた。
「まだ起きていらしたのですか、琴魅様」
不意に掛けられた声に振り向くと、何時からそこに居たのか、彼女のパートナーマシナリー汐音が控える様に部屋の入り口へと立っていた。
「何だか、余り寝付けなくて」
「何か、お悩み事でもあるのですか?」
言葉が拙かったのか、心配そうにこちらの様子を伺う汐音にそっと微笑み返すと、彼女はベッドから立ち上がる。
「ううん。そう言う訳では無いのだけれど、ただちょっと昔の事を思い出していたの」
部屋の脇に備え付けられた簡素なテーブルの上に、ポツンと置かれた1つの写真立て。
それを手に取り、収められた1枚の写真をじっと見つめる琴魅。
「ご友人との思い出、ですか」
小さく頷き、そこに写された親友との懐かしい日々の記憶に想いを馳せながら、彼女は静かに話し始めたのだった。

 それは、遡る事数年前。
琴魅がまだ正式なガーディアンズに成り立てだった新人の頃の事。
生まれ故郷でもある惑星、ニューデイズのオウトク支部へと赴任が決まった琴魅だったが、相変わらずの内向的な性格も災いしてか、依然として周囲に馴染めない日々が続いていた。
その日も雑務を終え一人自室へと戻る途中、仲良さげに話しながら彼女の横を通り過ぎていく仲間達の姿。
別段、それが羨ましいと言う訳では無かったのだが、ふととある人物から言われた言葉が頭をよぎる。
「琴魅、お前さんの欠点はそのコミュニケーション能力不足だな。まぁ別にお喋りである必要も無いが、もう少し何とかした方がより円滑に任務をこなす事にも繋がるかも知れんぞ」
かつて自分の指導教官だったガーディアンズからも指摘された言葉が、心のどこかに引っかかっていたせいでもあるのだろう。
「やっぱり向いていないのかしら、私……」
思わず立ち止まり、小さく溜息をつく琴魅。
そんな彼女の憂いを掻き消したのは、突然背後からあがった、何やら慌てたような女性の声だった。
「そこの人~、ちょ、ちょっとどいて~」
一体何事かと後ろを振り返った彼女の目に飛び込んで来たのは、まるで自分の視界すら塞ぐ様に積み上げられたダン・ボウルと、それを両手で必死に抱えながらヨロヨロと廊下を進む人影。
そして手にした荷物の影からチラリと僅かに覗く銀色の髪だった。
「え、キャッ」
つい先程まで物思いに耽っていた事もあり、咄嗟に体をかわす事の出来なかった琴魅は、案の定やって来た人物とぶつかってしまう。
ドンッ、という軽い衝撃と共にバランスを崩し、その場に尻餅を着いてしまう両者。
だが、幸い崩れ落ちて来たダン・ボウルには当たらなかった琴魅に対し、どうやら相手の方は頭の上にでもそれが直撃したらしい。
「アイタタタ。だ、大丈夫だった?」
頭を手で摩りながら、こちらを気遣い声をかけてくる相手に、琴魅もまた申し訳無さそうに答える。
「あ、はい。私の方こそゴメンナサイ、ぼーっとしていて」
そう言って顔を上げた琴魅と目が合ったのに気付き、照れ臭そうに笑みを零すその女性。
見た目は、琴魅と差ほど変わらないであろう二十歳前後といった顔立ちに、水色に近い青い瞳と先程も目を引いた銀色の髪。
そして何より目立つ髪と同じ色の産毛に覆われた大きな耳が、彼女がビーストである事を告げていた。
「ゴメンね、でも怪我が無くて良かった。それじゃ」
落としてしまった荷物をいそいそと拾い上げ、来た時と同じように積み重ねたそれを持ち上げると、女性は再びヨロヨロと廊下を奥へと進み始める。
あの様子では、何時また別の誰かにぶつかってしまうか分からない。
見るに見かねた琴魅は、思い切って彼女の背中へと声をかけてみる事にした。
「あ、あの、もし良ろしければ、運ぶの手伝いましょうか?」
この出来事が、琴魅と銀髪の彼女、雪との初めての出会いだった。
 
 
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Date:2009/07/26
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