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□ 短編小説 □

 『放課後の廊下』

 
 昼間の喧騒がまるで嘘のように静まり返った夕暮れ近い放課後の校舎内。
まっすぐ伸びる廊下とそこに並ぶ教室には人影は無く、時折聞こえて来るのは教師かまたは居残った生徒が立てる微かな物音のみ。
そんな光景を人は寂しいと感じたりするのだろうか。
でも、私はそんな人気の無い放課後の廊下が妙に居心地が良く好きだった。
それはひとえに私の人見知りするという性格があっての事なのかも知れない。
同じクラスメイトでさえ、言葉を交わした事の無い相手の方が多いくらいだ。
誰に気兼ねする事も無くぼんやりと廊下の真ん中を歩きながら、私はとある場所へ向かっていた。
やがて廊下の突き当たりより少し手前にある階段へと差し掛かるとそれを下り始める。
普段ならここを上へと上がった先にある図書室にて静かに時間を過ごす事が多いのだが、今日ばかりはそう言う訳にはいかなかった。
何故なら、今日はこれからある大事な用事を果たさなければいけないから……

程なくして到着した校舎の1階もまた人影は無く、私の足音だけが僅かに廊下に響いていた。
それからどれ程そうしていただろうか、廊下の壁に背を預けながら刻々と暮れゆく窓の外の景色をただじっと見蕩れる様に眺めていた時だった。
同じ廊下の先から聞こえて来る誰かの足音に私はハッと我に帰る。
既にほとんど差し込んでいない陽射しと消されたままの照明のせいで多少薄暗くはあったものの、そこに見えた良く見知った少女の姿に私は否応無く緊張が高まるのを感じる。
こんな風に誰かを待つ事なんて一体どれ位ぶりだろうか。
私はこの時の為に頭を捻り何とか考え出したそれを実行に移すべく、すぐ目の前までやって来ていた傍らの扉を開け中へと入った。
そこは職員室であり普段ならさして用も無く立ち入る場所でもないのだが、幸い今ほとんどの教師達が出払っているのか入り口近くで妙に身を潜めている女生徒一人を咎める声は聞こえて来ない。
僅かに隙間を空けた扉越しに聞こえてくる彼女の足音はすぐ側へと迫り、この扉を開けるのももうすぐだろう。
その瞬間が不安でもあり、またどこか待ち遠しくもある。
私と彼女はここで偶然バッタリと遭遇、まずはこれを上手く演出出来るかどうかがこの計画の要に――と、そこまではちょっと言い過ぎかもしれないけれど。
とにかくこの役を託してくれた皆の期待に応えられるよう頑張らないと。
そうこうしている間にも廊下の足音が止まり続いて聞こえてくる扉を開く音。
「あら?」
職員室へと足を踏み入れた彼女が、その数歩先に背を向けて立っている私に気が付き声を上げる。
そして私もまたまるでその声で始めて気が付いたかのように彼女、待ち侘びた親しき友人へと振り返るのだった。
 
 
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お題元
http://romea.web.fc2.com/
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Date:2010/05/29
Comment:2

Comment

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主人公が男の子だと勝手に思い込んで読んでたら
女生徒って誰だよ・・・ってなって3回ぐらい読み返してしまったw
2010/06/13 【シェフ】 URL #-

* Re: タイトルなし

あぁ、1人語りの口調とかもそんなに女の子っぽくしていませんからねぇ。
文中で表現してるのも、あの一文だけですし……
もう少し分かりやすい何かがあっても良かったかも知れませんね;
2010/06/17 【カーレトン】 URL #-

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